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270年の歴史を誇るイタリア・トリノの「トリノ王立歌劇場」が7月に初来日、イタリア・オペラの傑作、ヴェルディ「椿姫」とプッチーニ「ラ・ボエーム」を上演します。
中でも「ラ・ボエーム」は、1896年の初演がここトリノ王立歌劇場だったということもあり、同歌劇場にとって縁の深い演目です。
作曲したプッチーニは、後に彼の3大オペラの1つと言われるようになるこの「ラ・ボエーム」を、ある1人の友人に捧げました。その友の名はカルロ・ベネデット・ジノリ侯爵。車と狩猟をこよなく愛したプッチーニの趣味仲間であり、良き支援者でした。
ジノリ家は、13世紀後半から現在に至るまでフィレンツェに代々続く貴族の名家で、ヨーロッパ磁器で知られるジノリ窯も同家の当主が1735年に始めたものです。磁器のみならず、ジノリ家は700年の歴史の中で政治・経済・産業などさまざまな分野で業績を残してきました。そのジノリ家が、トスカーナにあるジノリ城周辺の所有地でワイナリーを始めたのは20世紀末のことです。ワインは古くから自家用に作られてはいましたが、商品として市場に出すのは初めてのこと。ジノリ家にとっては新しい挑戦でした。やがて最初の銘柄「カステッロ・ジノリ」が2004年にデビューし、現在は3つの赤ワインと1つのロゼワインが生産されています。
トリノ王立歌劇場もまた、伝統を守り、発展し続けようとする試みを続けています。今回の来日公演でも、新演出による「椿姫」に注目が集まっています。2007年に音楽監督に就任したジャナンドレア・ノセダは、常に満足することなく、質の高い芸術を追求し続けることが最も重要と語っています。
伝統ある劇場が新たな挑戦をし、最高の質を追求をしていく姿勢は、名門の名に安住することなく、ワインの世界に挑んだジノリ侯爵家の姿勢と通じるものがあります。このたびの初来日の記念として、プッチーニ「ラ・ボエーム」ゆかりのジノリ家のワインをご紹介します。伝統と革新が融合して生まれた至高のオペラと至福のワインの出合いをどうぞお楽しみください。
車と狩猟を愛したプッチーニとジノリ侯爵の交友
イタリア・トスカーナ州の湖畔の小さな村トッレ・デル・ラーゴに、オペラの大作曲家プッチーニ(1858−1924)の別荘があります。「蝶々夫人」「トスカ」など、プッチーニの傑作オペラの多くはこの別荘で生まれています。現在、別荘はプッチーニ博物館となり、湖畔のほとりに建てられた野外劇場で、毎夏、プッチーニ・オペラ・フェスティバルが開かれています。
狩猟が趣味だったプッチーニは、水鳥が多く生息する狩猟に最適なこの小さな村を気に入り、1890年頃、湖畔に別荘を購入し、移り住みました。
湖の反対側にはジノリ家の人々が住んでいました。やがてプッチーニは狩猟を通じてジノリ家の当主カルロ・ベネデットと親しくなりました。もう1つの共通の趣味である自動車でも、2人は親交を深めあいました。
1893年の「マノン・レスコー」で一躍脚光を浴びたプッチーニが次に手がけた作品「ラ・ボエーム」は95年に完成し、この親しい友人に捧げられました。その手紙は現在もジノリ家の古文書館に保管されています。「ラ・ボエーム」の楽譜の初版はジノリへの献辞が印刷されて出版されています。
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