商品番号:1894
モデルとなった国宝「乾漆八部衆立像」は、天平六(734)年、光明皇后が母橘三千代の一周忌供養のために発願した8体の像です。
経典『金光明最勝王経』の釈迦集会(しゅうえ)の場面を表す28体の群像の一部として造像されましたが、その多くは兵火や落雷など度重なる罹災で焼失。しかし八部衆は8体すべてが奇跡的に今に残ります。
古代インド神話の神々が釈迦の説法を聞いて仏法に帰依し守護神となった八部衆。経典には天竜八部衆として「天・竜・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・畢婆迦羅」の名が記されますが、モデル像は一部が異なる名称で伝わります。
半数が少年の風貌で、外敵と戦う守護神というよりはむしろ自己の内面と向き合うかのような表情をしているのが特徴です。
天平時代に花開いた仏教文化の中でも特に傑作との呼び声が高く、他に類を見ない独特の存在感を放ちます。
個性際立つ異形の八尊
仏師将軍万福と、画師秦牛養(はたのうしかい)による造像とみられる8体の像は、ほぼ直立の状態で大きな動きはないものの、その表情は写実的で、それぞれが独自の解釈で自由に造られています。